スイスの保育園で働いて驚いたことの一つが、子どもの寝かしつけ。
日本の保育園で働いていた時は、子ども達が落ち着いてきたら一人で布団に入って自然に眠れるようにしつつも、
全員が眠ったあとも保育士は必ず一人は部屋に残って子どもを見守ったり、乳児は15分~30分ごとに呼吸確認や寝ている向きの確認をしていました。
スイスはどうかというと、私の園では0歳児は全員一斉に寝る、ということはなく、その子が疲れた時にその子のリズムに合わせて寝かせるスタイルです。
日本の保育園でもその子の月齢や体調に合わせて多少前後させることはありますが、給食を食べたあとお昼寝の時間があるというのは全員共通。
スイスは完全に個人個人で、昼食の時間になっても寝ている子は、起きてから別で昼食を食べています。
ベビーベッドで寝る子、ベビーカーで寝る子など寝る場所やスタイルも様々ですが、基本的に子どもが寝付いたあとは、ベビーフォン(子どもの声が拾えるマイク)をセットして、保育士はその場に残りません。
ベビーカーで寝る子は、悪天候でない限り、屋外にベビーカーを置いて外で寝ていることも多いです。
子どもが起きて泣いたら抱き起しに行く、という感じ。
日本の保育園ではSIDS(乳幼児突然死症候群)についてとても気を使っていて、日本のやり方に慣れていた私は、
睡眠中に保育士が部屋にいないなんて危険!と最初はなかなか慣れなかったのですが(今でもちょっと怖い)、子どもの寝かしつけについては家庭でも日本と違う様子。
日本では、子どもが小さいうちは両親のどちらかが子どもが寝るまでそばについて、寝る部屋も同じ、というスタイルが多いと思いますが、
スイスでは家庭にもよりますが、寝かしつけということを基本的にせず、子どもをベッドに寝かせたら大人は部屋を出て、子どもが一人で寝るのを待つ、というスタイルが多いそうです。
ベビーフォンやモニターを設置して、生後3~6か月頃にはすでに大人と別の部屋で寝る子も多いよう。(SIDSの観点からは、今は6か月までは同じ部屋で寝かせるのがいいとされているみたい)
同僚に聞いた時も、
「私の場合は部屋数の関係で遅くまで一緒に寝ていたけど、1歳になった時にはもう別々の部屋だったかなぁ」と言っていました。
私自身は、ベッドを買ってもらった小学生低学年頃まで家族みんなで寝ていたのですが、それを話すととても驚かれます。
スイス人の友だちも、「自分は赤ちゃんの頃からずっと両親と別の部屋で寝ていたけれど、それが当たり前だから寂しいと思ったことはない。小さいうちから両親抜きのお泊りもわりと平気だったし、自立できてよかった。」と話していました。
確かに、日本だと子どもの寝かしつけに毎晩1時間以上かかってくたくた、という話もよく聞くし、親の負担はスイス式の方が少ないだろうなぁ。
フランスやドイツもこのやり方が多いと聞きます。
子どもが生まれても、親である以前に、夫婦であることや「個」や「自立」を大切にしている国ならではなのかなと感じます。
子どもが一人で寝られるような安全な環境を作るのは大前提として、家庭でスイス式の寝かしつけ方ができたら、大人の時間にも少し余裕がもてるかな。
その子にもよると思うけれど。
他の国ではどんな感じなのか、気になります。
ちなみに私が前に住んでいたアフリカでは、子どもの寝かしつけは特にしないけれど、家族の形式が大家族ということもあって、子どもが大きくなっても1つのベッドを親や子ども達複数で使う、ということも当たり前でした。